「昨夜の晩酌」
こちら「昨夜の晩酌」でご紹介している酒器やその他の器は、基本的には私の自宅にあって店頭には出ていないもの達です。
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昨夜の晩酌(麗しの初期白磁酒器の巻)
昨夜の晩酌です。大層な副題を付けていますが、あまり気にしないでください。あくまでも、このシリーズの記事の整理のための副題ですのでね(笑)。
その初期白磁酒器の盃の方ですが、大変薄手で品の良い輪花形の平盃です。釉薬の色の方は真っ白とはいかず、やや青味がかったグレーですが、口径は9.6cmと10cmを切っています。深さもありますので、小皿という感じではなく、無理なく平盃として使えます。口縁に3箇所金継がありますが、よくこの薄手のものが、割れずに15~16世紀から今日まで残ってきたものだと感心させられます。その薄手ゆえに、使用時に怖さがあり、これまでもお正月など以外ではあまり使ってこなかったのですが、久しぶりに普段に使ってみました。
初期白磁の徳利の方は、残念ながら口に金継が1個所ありますが、美しい白い肌です。写真で見ると盃とあまり変わらないように見えますが、実物はこちらに方がずっと美しいです。
実はこの徳利、入手した時は胴の下の方から高台内までが、油で黒く染まっていました。それを、ハイターの原液を使って落としたのですが、口に金継があるため、丸ごとハイターの中に浸ける訳にはいきません。そこでまず、徳利の内部に半分ぐらいまでハイターを入れ、それを胴の半分ぐらいまでが浸かる量のハイターに浸けて油抜きをしました。古陶磁器に染み付いた油は、長期間ハイターに浸けてもなかなかうまく落ちてくれないのですが、この時は数か月(半年もかからなかったと思います)で、奇跡にようにきれいに油染みが落ちました。油臭も残っていません。容量の方は1合9勺とほぼ2合で、少し大きめですが、普通の酒飲みは2合ぐらいは当たり前に飲みますから、まあ、酒飲みはこれでお代わりしてちょうどぐらいでしょう(笑)。
鯛のあらとごぼう煮は李朝後期分院の白磁皿に、ほうれん草となめ茸のおひたしは李朝末期の染付小碗に、山蕗の佃煮とちりめん山椒は李朝初期の白磁小皿に、それぞれ盛り付けてみました。今回の鯛のあらにはお頭が無かったので、目玉が食べられず残念でした(笑)。