「李好のヌシ」
当店で開店時から売れずに店頭にある商品を当店の「ヌシ」としてご紹介いたします。
売れていないからと言ってつまらないものだということではなく、存在に気付いてもらっていなかったり、そもそもそれが何なのか分からずにスルーされて来たような商品を、ここでご紹介・ご説明しおります。
よく他店のホームページ等の新着商品や自慢の商品の紹介などとは、趣向を変えた形での商品紹介にしています。
李好のヌシ 第一話「가락지(カラクチ)指輪」
新シリーズです(笑)。新型コロナ禍で骨董関係のイベントが開催中止となる中、こちらのブログもお料理・お食事関係に内容が偏重してしまい、グルメブログみたいになってきてしまいましたので、新たに考案したシリーズです。
当店、李好において開店時から売れずに店頭にある商品を当店の「ヌシ」としてご紹介するというものです。売れていないからと言ってつまらないものだということではなく、存在に気付いてもらっていなかったり、そもそもそれが何なのか分からずにスルーされて来たというような商品を、ここでご紹介・ご説明しようというものです。よく他の骨董店のホームページで、新着商品や自慢の商品の紹介などをされていますが、そういう他所でもやっていることはやりたくなかったので、少し趣向を変えた形での商品紹介にしようと思います。
「李好のヌシ」という名称は、もちろん関西のある深夜番組の中のシリーズ名からパクったものです(笑)。
記念すべき第1回目は、李朝の가락지(カラクチ)指輪をご紹介します。これは、全く売れていないという訳ではありませんが、2点ぐらいしか出ていませんので、まだたくさんあります。店内だけではなく自宅にも(笑)。
李朝の指輪というと素材が銀の은반지(ウンパンジ(銀指輪))がよく見られますが、他にも白銅や真鍮、銅製のもの等があります。2枚目の写真の奥左が銅製、その他の3点が真鍮製です。
また、二つ一組で使うものを가락지、쌍가락지(カラクチ、サンカラクチ)、1つだけのものを반지(パンジ)、二つがつながっているものを합반지(ハップパンジ)と言います。3番目の写真が쌍가락지(サンカラクチ)、4番目の写真が합반지(ハップパンジ)になります。
쌍가락지(サンカラクチ)は、1本の指に2つをはめるのものです。こんなゴツイ指輪を2つもはめていたら不便だろうと思いますが、朝鮮時代に銀製の指輪をはめられるような人は身分の高い人たちで、家事なども一切しなかったでしょうから、ただ自慢げに付けていたのでしょうね(笑)。쌍가락지(サンカラクチ)は、婚姻と夫婦一心(夫婦の絆)を象徴したもので、既婚女性のみが使用し、未婚の女性は반지(パンジ)を使用しました。
指輪には、コウモリが彫られている物がよく見られます(蝙蝠というより蝶のように見えますが)。日本では不気味なイメージのコウモリですが、漢字の蝙蝠の「蝠」の造りが「福」と同じであることから、中・韓では吉祥紋とされています。他に長寿や子孫繁栄を願う文字が刻まれたもの等もあります。3枚目写真の奥左の쌍가락지(サンカラクチ)には、図案化された「壽」の字が刻まれていますね。ちなみに、4枚目の写真手前右の小さな합반지(ハップパンジ)は、赤ちゃんが1歳の誕生日のお祝いの時に付けるものです。
쌍가락지(サンカラクチ)は、ご夫婦やカップルでペアリングのように1つずつはめられたらおしゃれだと思います。写真の銀の指輪は黒くなっていますが、歯磨き粉を付けて歯ブラシで磨いたら驚くほどきれいになりますよ。でもやっぱり、もっときれいな指輪の方がいいですかね(笑)。