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李好のヌシ 第八話「白磁と瑠璃の海駄形水滴」 - 韓国骨董 李好

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李好のヌシ

「李好のヌシ」

当店で開店時から売れずに店頭にある商品を当店の「ヌシ」としてご紹介いたします。

売れていないからと言ってつまらないものだということではなく、存在に気付いてもらっていなかったり、そもそもそれが何なのか分からずにスルーされて来たような商品を、ここでご紹介・ご説明しおります。

よく他店のホームページ等の新着商品や自慢の商品の紹介などとは、趣向を変えた形での商品紹介にしています。

李好のヌシ 第八話「白磁と瑠璃の海駄形水滴」

カテゴリ: 李好のヌシ 作成日:2021年02月27日(土)

DSCN0200 2今月も21日の東寺・弘法市、25日の北野天満宮・天神市ともに、緊急事態宣言発出中ため開催中止となりました。新型コロナ禍の方は、日々の感染者数も減少してきたため、京都を含む首都圏3都県を除く自治体では、2月末での緊急事態宣言の解除が決まりましたが、解除による開放感からのリバウンドに気を付けなければなりませんよね。特に3月は、卒業式や送別会などの宴会シーズンですので、大人数での会食による感染拡大が心配されますね。

そんな訳で、今回はまたヌシ様にご登場いただくことになりました(笑)。第八話となる今回ご紹介するのは、白磁と瑠璃の海駄形水滴です。李朝の文房具の中で、筆頭や硯に比べ入手しやすいのが水滴です。その形状は、四角や丸形、六角等から、魚、海駄、桃、亀、蛙、鳥(鶏)等の肖形の物まで多種多様です。今でも入手しやすいのは、瑠璃の魚形、染付の山水紋の四角形などでしょう。瑠璃の海駄も先の2種に比べるとお値段は随分と上りますが、まだ見つかる形の物でしょう。動物の形のもので、蛙、鳥(鶏)、兎などのなると、もう博物館か美術館、または高級なオークションなどでないと見られないものと言っていいでしょう。

今回ご紹介する白磁と瑠璃の海駄形水滴は、形状としては海駄形では比較的よく見られる手のものですが、白磁というのが希少ですし、サイズがよく見られる物に比べ、大きいというのがこちらも希少です。2番目の写真の手前左に同型の物がありますが、こちらのサイズが幅 8.1cmなのに対し、白磁と瑠璃の対の方は幅が 10.0cmあります。そういう訳で希少価値が高く、お値段も高価になります。それ故に、ヌシ様となっておられます(笑)。

今回店にある水滴のいくつかをご紹介しますと、まず2枚目の写真は、手前2点が瑠璃の海駄形水滴ですが、一般的に向かって右側のように、頭が立っている形の海駄の方が希少価値があります。後方は左から比較的よく見られる染付山水紋四角形水滴、中央が染付蘭草紋六角水滴、右が染付宝珠形水滴です。

3番目写真の2点は、鉄砂と辰砂の入ったものです。左が鉄砂、右が染付と辰砂です。2点とも何を描いたものかはよく分かりませんが、鉄砂や辰砂の入った水滴は希少です。特に辰砂の入ったものについてはその数が少なく、水滴に限らず希少価値が高いです。

4番目の写真には魚形水滴が4点ありますが、それぞれに形態、技法が違っています。手前左のものが、よく目にする瑠璃の魚形水滴です。李朝の瑠璃の水滴に中ではまだよく見ることができ、お値段も安価なため入手し易いものです。手前右のものは同じく魚型水滴ですが、鱗を表す技法の陰陽が逆の作りになっています。顔の造りも細目で、背ビレは大きいです。後方左の物も瑠璃の魚型水滴ですが、サイズも大きく、周りに波濤紋が刻まれています。手前部分に白く描かれているのが、お分かりいただけるかと思います。最後に後方右が、白磁の魚形水滴です。海駄同様に、白磁のものは数が少なく希少価値が高いです。したがって、手前左→手前右→後方左→後方右の順で希少となります。したがって、お値段の方もその順番で高価となっていきます。

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5番目写真の後方中央の染付蜘蛛巣紋花形水滴は、図録などでもこの図柄は他に見たことがありません。大変希少価値の高い物です。後方右のあるドーナツ型は、李朝独特の形状です。手前中央の白磁面取水滴は七面の面取りになっています。普通は八面なのでしょうが、このあたりが李朝らしいところですね。

最後の写真は、当店のものではなく。韓国の国立中央博物館の所蔵品です。写真の下のハングルは「いろいろな形の白磁水滴 19世紀には蛙・ガマ・海駄・兎・鯉・桃・金剛山・膝・四角・八角・豆腐等、多様な形の水滴が作られた。国立中央博物館所蔵」と記されています。これらの水滴は、韓国で医師として、また李朝陶磁器の収集家として著名な水晶 朴秉來(パク・ピョンネ)氏(1903~1974)の寄贈品です。

朴秉來氏は、収集した陶磁器の多くをを国立中央博物館に寄贈しました。彼の寄贈品は、韓国国立中央博物館2階の寄贈館 朴秉來記念室に展示されています。私がソウルの国立中央博物館を訪れる時、最も楽しみにしており、最も時間をかけて観覧するのがこの朴秉來記念室です。写真手前中央の染付辰砂海駄形水滴は、朴秉來氏が骨董商に1か月以上もかけあって、ようやく入手した品で、嬉しさのあまり白衣のポケットに入れて持ち歩き、時々触ってはその感覚を楽しんでいたのだそうです。

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